2022年7月5日に発行されたIBMの特許の出願履歴から考察しました。今回は審判があり、とても長い解説になっています。審判は高額で時間もかかる手続きなので敬遠している企業も多いと思います。しかし、今回のように、1)拒絶があってもクレーム補正を行わず、2)リファレンス文献の解釈が出願人と審査官の間で大きく異るような場合は、最終拒絶後の審判は正しい判断だったのかもしれません。
1回目の拒絶の後にIBMは審査官を否定する強めの主張を行っているのですが、個人的にはそのようなOA対応をする前に、審査官とインタビューを行い、リファレンス文献の解釈に関する溝を埋めるような努力もあったほうがいいのではと思いました。
しかし、インタビューをするのであればそれなりにクレーム補正のアイデアを用意しておきたいのが心情なので、もしIBMがクレーム補正なしで権利化したいというような状況であったのなら、インタビューはやるべきではなかったかもしれません。
変更点:
OA対応は原則、時系列順に話すことにしました。
Public PAIRが今月末に終了するとのことなので、Patent Centerから情報を得ています。
目次
IBMの特許です。
2019年8月にアメリカに出願され、2022年の7月に特許になっているので、約3年弱の審査期間になります。
今回の手続きもそれなりのボリュームですが、ポイントとなる部分を見てみましょう。
IDS提出は1回ですね。
今回は、最終拒絶があったあとに、審判請求(Appeal)をおこなっています。そして、特に[Pre-Appeal Brief Review Request](https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s1204.html#:~:text=The request must be accompanied,the review is being requested.)もなく、ストレートに審判をやっています。審判が終わってから、クレーム補正をし、許可に至っています。