2023年2月7日に発行されたSeiko Epsonの特許(Pat. No: 11,567,511)の出願履歴から考察しました。
1回目のOAでは独立クレームが異なる文献で102条の拒絶が2回、そして103条による拒絶が2回と、計4回拒絶されていたのですが、大幅な補正を独立クレームに加えることによって、先行技術との差別化に成功しました。
どの点に注目して差別化を測るか、どこまでクレームを補正するか、は権利化の手続きにおいて非常に重要な点であり、特許弁護士としての技量が試されるものでもあります。今回は、従属クレームでも注目していなかった点を大胆にクレーム1の補正に加えたことによって、クレーム1の内容を引用された文献とは異なるようにうまく限定し、権利化につなげていました。
今回の案件を担当したのは日本人の代理人でした。大学までは日本にいたようで、アメリカではLLMを取得し、弁護士になっています。そして、USPTのライセンスを取るためか、技術系のコースを大学で受講していました。
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Seiko Epsonの特許(Pat. No: 11,567,511)です。
2020年9月がアメリカにおける出願日で、2023年の2月に特許になっているので、約2年半の審査期間になります。1回のOA対応で事実上、審査が終わっているので、もう少し早く権利化されてもいいように思えますが、下の期限延長のセクションでも話しますが、1回目のOAまで時間がかかったようです。
日本の発明者によるSeiko Epsonの出願なので、日本に最初に出願されており、優先権が主張されています。
いつもこの解説の最後に担当した代理人の紹介をしていますが、今回は日本人の代理人が案件を担当していたので、解説を始める前に簡単なプロファイルを出しておきます。